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お陰参りと抜け参り

おかげ横丁の名前の由来でもある「お陰参り(おかげまいり)」は、江戸時代におこった群衆による伊勢神宮参拝のことです。その語源は、天照大御神の「おかげ様」で参拝を果たせるの意味であったり、「おかげ様」で平穏であることへの感謝であったり、長い旅の道中様々な人の「おかげ様」で参拝を果たせた為など諸説あります。

「一生に一度はお伊勢さん」と言われるほど、江戸時代に生きた人たちにとって憧れであった伊勢神宮でしたが、誰もが気軽に赴ける場所ではなく、諸事情や健康上の理由により参拝したくても叶わない人も多くいました。それでも神宮の御利益をいただきたいと、主人の代わりに「飼い犬」に伊勢神宮を参拝させる「おかげ犬」まで登場しました。歌川広重「伊勢参宮 宮川の渡し」や「東海道五十三次 四日市」には実際に神宮を代理参拝【代参】する「おかげ犬」が描かれていますので、当時は珍しいことではなかったことが伺えます。

「おかげ参り」と呼ばれるようになったのは後の時代からで、それ以前は「抜け参り」と言われていました。江戸時代には家族に黙って参拝に出かけてしまう人や、子どもが親に黙って「抜け参り」することもあったほどです。

今ではとても信じられないことですが、当時は伊勢神宮を参拝することが善業という風潮であったため、抜け参りは世間的に容認されており参拝した人を誰も責めることはなく、それどころか抜け参りの旅人を見つけると、宿を用意したり、食事を用意したり、旅賃やお茶を振る舞ったりと、積極的に手助けをしたそうです。それほどまでに神宮参拝は尊い旅でした。

へんば餅の本店がある伊勢市小俣町の明治時代の暮らしぶりを記した書物には、「抜け参り」や「代参」の子供達を見つけると「へんばやにて宿と食事を用意し、へんば餅などを皆々子供に一包ずつ持たせて帰らせた」という旅路の子供達を労っていた記述が残されています。お伊勢参りのご利益と供に「へんば餅」を持ち帰った子供もいたかもしれません。

伊勢へお越しの際には、へんば餅を旅のお供に是非当時の風情をお楽しみください。
おはらい町店では、田舎の餅屋とお休み処をコンセプトにしたおもてなしで、皆様のお越しをお待ちしております。