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宮川の渡し

神の川「宮川」

その昔、お伊勢参りに全国から集ってくる参拝客たちは東からきても、西からきても、伊勢に入るにはかならず宮川を越えねばならず、この川は参拝客を必ず足止めする伊勢最大の河川でした。古来から「暴れ川」としても恐れらた「神の川」宮川は、度重なる洪水を引き起こし何度橋を渡しても流された歴史と記実が残っています。そのため、この宮川の渡り方は無料の「渡し船」が主流でした。宮川には上の渡し・下の渡し・磯の渡しの三箇所の渡し場があったそうです。その中で下の渡し場は、桜の木が多かったことから別名「桜の渡し」と名づけられました。この渡し場を超えると、神域になるため動物の立ち入りは禁じられていました。その為、馬で旅をしてきた人々も皆ここで馬を降りねばなりませんでした。川を渡り、勅使参向(ちょくしさんこう)の時はここでみそぎを行なったとされ、諸国からの参詣人もこれにならって身を清めた、聖なる川「宮川」を渡れば、目指す神宮はもう目と鼻の先です。

現在、桜の渡し付近には当時の渡しに寄せて「渡場」が再現されています。今は船ではなく、鉄橋を情緒ある単線電車が渡るベストスポットです。夕暮れ時のそれは、現代の時の流れと江戸当時の時をタイムリープするような、なんとも言えない雰囲気が漂います。江戸の参拝客がそうであったように、この河川敷に腰をかけ時の流れを感じながら「へんば餅」を召し上がるのもまた一興ではないでしょうか。